コンセプト設計の大切さを感じる出来事

最寄駅の隣にある駅前のTSUTAYAが、静かにリニューアルしていた。

何が新しくなったんだろうと期待を寄せて入店してみたら、店内はそこまで大きく変わった様子はなかった。木曜の20時、人はまばらで閑散としている。リニューアルは家族連れや単身の人、年代問わずに賑わっていたはずなのに。どうしてなのか、考えてみました。

変わった点を考察してみた

【リニューアル前】
・新刊や雑誌がメインコーナーに置かれていた
・2Fレンタルコーナーは漫画も映画も多く、広々としていた
・有人レジで、店員さんが対応してくれた(人の温度感がある)

【リニューアル後】
・「こころとからだを整える」が店内コンセプトとなり、2Fはフィットネスジムになる
・フィットネス系、ライフスタイルの提案に近い本、関連する雑貨などが新刊よりもスペース広めに提供
・「20代〜30代女性」がターゲットと思われる雑貨などの取り揃え(F1層へターゲットシフト?)
・セルフレジの導入(1つの有人レジを覗いて、ほぼ無人化)

大きく変わった点としては、ターゲット層とコンセプト。前は老若男女が使う普通のTSUTAYA、今回は女性客がターゲット・フィットネスを絡めた提案型の融合型書店というところ。

いちばん驚いたのが、メインのレジがセルフレジに変わったこと。試しに小説を1冊買う時に使ってみたら、背徳感に包まれた。

今までレンタルでセルフレジを使うことに対しては抵抗はなかったものの、本の購入で使うことは、抵抗がすごくある。これはどういうことなんだろう…!

セルフレジの仕組みと、買いにくさについて

>CDやDVDレンタルは鍵の解除が必要で、購入後に自分で解除してから店内を出る(=つまり、購入したサインが解除台におくことで示される)

>本の購入に関しては上記のような解除する仕組みはないので、
バーコードを通さずに袋に入れて買えてしまう可能性もある(=個人の良識にゆだねられる)

店員さんが近くにいなかったり、人がまばらなときはレジを通さずに持っていけてしまう可能性だってあるのではないかということ…?

疑問に思ったので他店舗(代官山の蔦屋書店)にも足を運んでみた。
代官山の蔦屋書店もセルフレジが導入されている。

後からわかったことだけれど、RFIDタグがついているバーコードシールが本の裏側についている。こちらのシールがついてれば、仮にそのまま持ち出したとしても店内のアラームが作動するのだとか。(セキュリティ面は大丈夫だった)

そして代官山蔦屋の場合は、メインはカウンターでのお会計でセルフレジはサブ。今回訪れた隣駅のTSUTAYAは、メインがセルフレジに変わり、有人レジはひとつのみ。

適度に人がいる空間でのセルフレジは気兼ねなく使えるけれど、人がまばらな空間でのセルフレジは緊張感が増す。若い人はこういうアップデートに順応で慣れるのも早いけれど、ご年配の方や視覚障害の方が購入するときには購入ハードルがグンと上がってしまうのではないか。「買いにくさ」というのはお店にとって致命的なポイントになるので、改善できないと売り上げは落ちてしまいそうな印象。

体験を通して学んだこと

顧客の求めているニーズと、店側が提供したいサービスがずれていると、お互いに幸せになれない。
「UX要求×目的」がきちんと成されているかを見極めて施策を進めていかないと、両者の間に溝ができてしまう。webサービスに限らず実店舗での経営戦略でもUX視点は、常に求められているのかもしれません。

まとめ

リニューアルする前もそこまで本の品揃えはよくなかったけれども、2Fのレンタルコーナーと相まって、訪れる人は多かった。今回のリニューアルで生まれたコンセプトは、訪れる顧客の求めているニーズとズレが生じている気がしている。

この街に必要なのは「普通の本屋」。 なぜかというと、この駅の周辺には本屋がなくて、新刊や雑誌は帰り道にこのTSUTAYAで本を買う人が多かったはずだから。かくいう私もその一人だったので、今回の改装は地味に哀しい。顧客が希望しているようなリニューアルにならなかったときのショックや反動は大きいなぁと身を以って感じる出来事だった。

そしてF1層の私ですが、今回のリニューアルはあまり響かなかった。ターゲットをある程度絞って展開するのであれば、店内すべてをコンセプトに沿った本・雑貨に振り切るぐらいの舵取りも必要なのかもしれない。